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費用にならない修繕費 新宿区市ヶ谷、神楽坂、飯田橋本拠の松原正幸税理士事務所 法人税、所得税、消費税、簿記会計など事業に係るご相談はご相談はお気軽に!

第12回費用にならない修繕費

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費用にならない修繕費

修繕をしたのだからそれは修繕費という費用のはず・・・ところが・・・

修繕をしたのだからそれは費用になるはずだ!というのが通常の感覚であり常識かと思います。しかし世間の常識にはまた違う考え方もあります。直して寿命が延びたのだからそのれはそれとして価値がでたのではないのかという考え方です。 この価値が延びたのではないかという考え方を会計や税務の世界ではするようになっています。
使える期間がのびたのだからその期間にあったところで費用化することが法で定まっているということです。これを資本的支出といいます。要するに支出した期間や年度では全額を経費化、費用化することはできないということです。費用化できるのは支出した金額のうちいわゆる減価償却をする部分のみということになります。ということは修繕計画を立てなければいけないということになります。これいは金額基準がありますのでこれらの基準にあったところで費用化する計画を考えます。・・・・ということは修繕する前には緊急性があるものを除きどの程度の修繕をどの程度で行うのか?という計画を立てなければならなくなります。複数あるのであれば優先順位を決めて償却をする年度の計画も立てていくということをしていくということになります。これは経営としては重大な考えの一つになりますので十分に理解して経営に生かしていかなければなりません。

資本的支出の基準はどのようなものなのか?

まず修繕費との違いを理解する必要があります。使えなくなったものを回復させる・・・元々使っていた状況に戻す・・・・これはどのようなことがあろうとも修繕費としての解釈になります。この判断が重要な部分になってきます。これに合わせるような形で資本的支出とされる場合の資産の計上の方法も変更が加えられています
とすると資本的支出とする場合の基準的なものが見えてきます。逆に修繕費として取り扱うべきものと考える基準も見えてきます

資本的支出とされた修繕費の資産としての計上方法

平成19年度の税制改正にて資本的支出とされた(される)修繕費について、「新たに減価償却資産を取得したものとして償却限度額を計算する」とされるようになりました。
これがひとつのポイントです。
新しく取得したと言えるような状況があれば資本的支出となる可能性が高いということです。またその資産を過去使っていた状況ではなく新しく用途を変更して使えるようにするという行為も資本的支出に該当するという考え方もできます。

周期的(3年以内)に行う修繕で20万円未満のものは必ず修繕費になる

資産の計上基準が10万円という欧米に合わせた形での改訂がおこなわれたがここでは依然として計上基準の金額は20万円未満です。(注意点)これは実績がものを言います。またその物が3年程度で常に修繕をしていかなければならない事情・・・・当然使われている部品や材質が大きく影響するでしょう。・・・・・が明確に証明できる書面・・・修繕報告書などがあればまずひとつクリアになります。そしてもうひとつあくまでもその事業年度での修繕が20万円未満ということも基準になります。・・・計画的な修繕という考え方はこのあたりのことを考慮して表現しています。要するに資本的支出の判断で大事なのは緊急修繕ではなく計画修繕の中に潜むものと考えるということです。買い換えとの比較で考えなければならない・・・・・ごまかしごまかし使うののであれば修繕であるが新製品に匹敵する修繕は資本的支出になるというのが肌感覚という部分になるのだろうと思います

金額などの形式で判断する考え方

前提条件があります。その対象となる固定資産について支出した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかの区分があきらかではない金額がある場合においては一定の形式基準をもってその区分を行うことが認められる。ここに書かれているのはあくまでも1.区分があきらかではない 2、認められている。という表現です。とすると支払金額そのもの以前に判断するべき基準がありその基準を満たす(区分できないよ基準)をみたしていることが分かり形式基準で判断して修繕費として扱う部分は修繕費として認められる部分もあるという考え方になります

上記の形式基準

資本的支出であるか修繕費の区分があきらかではない金額に対する基準
1.その金額が60万円に満たない場合
2.その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
要注意点・・・・前事業年度以前に同じ状況での資本的支出をおこなったとされる場合の取得価額は元の取得価額に追加減価償却資産の取得価額の合計額で判断します。


例外的規定。あくまでも明らかではない金額を基準で考えます

法人税法基本通達7-8-5 一の修繕、改良等のために要した費用のうち資本的支出であるか修繕費であるかの区分が明らかではない金額(注・・3年周期とされるものを除きます。)がある場合において法人が継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれかの少ない金額を修繕費としその残額を資本的支出として経理している時はその処理が認められる。とされています

この考え方で大事な部分は修繕の意味の捉え方です。慎重な判断が早期費用化を助けます