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新宿区市ヶ谷、神楽坂、飯田橋本拠の松原正幸税理士事務所 法人税、所得税、消費税、簿記会計など事業に係るご相談はご相談はお気軽に!

第9回 開業したときの費用の処理

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新たに事業を始めた場合の費用で開業前に支出した部分の処理について
この費用のことを開業費といいます。

開業費は繰延資産です。経費(費用)ではなく資産扱いとなります。
開業費の範囲について・・・・・とても重要です。法律により範囲が変わります

 
商法上の開業費の範囲

商法上における開業費とは開業前(登記前であったり、実際に営業活動に入る前であったりします)に支出した一切に費用となります。したがって本来この内容にそぐわない普通に出て行く経費までも含めることとなります。・・・・・・そのかわり償却(経費化すること)については厳密な検討が必要となります。
現実的に中小企業で考えれば・・・・償却することができない・・・・開業費ではないという考え方になっていきます。
きわめて冷静に考えれば簡単なのですが、法人の開業前にその法人の名前での広告宣伝は当然できません。違法です。
となると単なる個人事業としてしか考えれないということになります。
この間の費用は個人事業の所得計算として個人の確定申告で申告することになります。
ただしこの時に事業をやっていれば救いがありますが実際になにもやっていないのであればなんら所得計算には反映されません。要するに無駄金という扱いになる可能性がきわめて高くなります。
またこの時の事業の規模によっては、収入があっても雑所得扱いとなり経費は直接使ったもの・・・売上の基になった商品代金なとだけ・・・でかつ損失が出ても損益通算されません。(雑所得のマイナスはは個人の確定申告ではマイナスではなく0扱い)ということで綿密に計画を練ってキチンと法人登記をしてそこから開業費用を使うということが重要になります。開業の時には費用使いまくりのお誘いは本気で嘘なので用心してください。その内容によっては詐欺性がでますので相談先は警察になります。

法人税上の開業費の範囲

法人税法上はその内容がもっと狭くなり経常経費(普段も出て行くような経費)は開業費には含みません。また開業前に買った器具備品(パソコン等)消耗品(はんこ等)も含みません。簡単にいえば登記にかかった費用のみ程度だとお考えいただければよいと思います

法律の違いはどうするのか・・・・・・商法監査が必要でないなら法人税法上の取り扱いに準じます

商法監査が必要とされるのはいわゆる大企業が大部分です。したがってそれ以外の企業については第三者判断が入る可能性があるのは税務上のみとなります。また、開業にあたって必要以上に金銭の出費をすることは経営上あまり歓迎するべきことではありません。よく開業費はお金を使うチャンスだと言い寄ってくるバカものがいますが、ようするにたかりです。このような方は必ずと言っていいぐらい危機が訪れると逃げていきます。会社のお金はあなたを守るため、また本当に営業活動の為に使う為にあるのです。遊び金ではありません。飲み屋さんでよく知ったかぶりをする方がいらっしゃいますが、その方達は責任は取りませんしまた取らせる事もできません。よく自分の力をしっかりと把握しましょう。
 余計な話になってしまいましたが、おそらくはどんなに多くても30万円程度でしょう(会社組織によって違いがあります。)この金額は原則は均等額以上5年間で償却となります。ただし、開業費は任意償却(自由償却ともいいます)が認められる数少ないものです。利幅にあわせた金額を償却してもかまいません

開業時の支出について

開業前であってもその本来の科目で経理することとなります。(あくまでも商法監査外の場合)

パソコン・・・10万円以上の場合は器具備品として経理します。(償却方法はいろいろあります。別項で)
個人では貯蔵品でその後法人に譲渡となります。状況や状態で中古取得もありえます。 資産計上を避けるためであれば課税対象になろうかと思います。 
ハンコ・・・・・・10万円未満のものは消耗品として経理・・法人に関連するものだけ、銀行印程度
旅費・・・・・・・旅費交通費・・法務局や登記関連にかんするものだけ。
給料・・・・・・・役員報酬の場合は会社が成立していないので個人事業で考えますから存在しません。
給料・・・個人事業の経費にすぎません。雇用するにも法人が存在していません。
交際費・・・・・。開業パーティなども場合によっては開業費に該当します。
ただし取引上このようなことが必要である場合のみです。
要するに通常はありえないということになりますのでいわゆるムダ金です。 
         

商法監査対象で開業費の計上が強制される場合の税務上の処理
別表4にて開業費全額を減算認容し、償却部分を加算することとなります。詳しくはお近くの専門家にどうぞ。
原則は損金経理が原則がルールです。
国税庁から開業費の減算認容処理は明確に認めないと通達がでています。まあ要するに通常はやってはいけないことと現状なっております。また中小企業でやれば永久差異(!笑)の大発生となります。要するにやっても意味がない!